頚椎の変形が原因となって、首や肩の痛み、手足のしびれなどが生じる病気です。
進行すると、以下のような障害が出現します。
治療は、頚椎の安静が第一で、上を向くと症状が強い場合は、窓拭きや電灯交換、シャンプーを控えたり、硬めで低すぎない枕を使ったりして日常生活での自己管理をします。温熱療法、頚椎牽引も有効な治療法です。疼痛緩和のため、消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、ビタミンB などの薬剤を使用します。
脊髄症に進行し、日常生活に支障を来たす場合、手術療法が必要になることがあります。
頚の椎間板(軟骨)が変性して、神経を圧迫することにより頚部痛や手足のしびれ、ボタンや箸が持ちにくいといった手指の運動障害や、進行すると歩行障害が出現します。
転落、交通事故など外傷が原因のこともありますが外傷の既往のないものもあります。
頚部痛、肩甲骨周囲の疼痛や、上肢痛、脱力などが主な症状です。
治療は①保存療法(局所の安静、装具、薬物、温熱、牽引)、②手術療法があります。
頚椎後縦靭帯(頚椎の脊柱管の前方に位置し神経に隣接する靭帯)の異所性骨化により脊髄圧迫症状を呈します。糖尿病や遺伝的因子の関与が示唆されています。
頚部痛や脊髄症状が出る場合もありますが、無症状のこともあります。
外傷を契機に発症する事も多く、骨化が脊柱管の前後径の40%以上になると麻痺が発症しやすくなります。
検査はX線(分節型、連続型、混合型に分類)、CT、MRIが有効です。
治療は保存療法が基本ですが手術療法も必要になることがあります(頚椎椎間板ヘルニアに準じます)。
睡眠の後に発生する急性の頚部痛で、朝起きたら頚が動かないといった症状が多く、頚椎運動が高度に制限されます。
不良姿勢で居眠りした後にも見られ、頚椎椎間板線維倫の断裂や頚椎椎間関節障害などが原因と考えられます。
一般にシビレなどの神経症状は伴わず、多くは一過性で自然治癒しますが、頚椎椎間板ヘルニアが原因となっているような場合もあり、症状が続く場合には専門医の診察をお勧めします。
追突事故などにより頚椎が過度に伸展し、ついで反動により屈曲して発生します。
一般に骨折や脱臼、靭帯損傷はともなわず、一種の捻挫と考えられ、頚椎捻挫とも呼ばれています。
受傷の翌日や2から3日後になって強い頚部痛や頭痛が見られることも有り、しばしば吐き気や嘔吐が見られることもあります。
指を曲げる腱と腱鞘(腱を通過させるトンネル)の滑動障害で起こります。中年の女性に多くみられます。指を曲げるとばねのように「カクン」と引っ掛かって指が伸びなくなる現象から「ばね指」とも呼ばれます。
痛みと運動制限がある場合の治療は、安静と消炎鎮痛剤、ステロイド腱鞘内注入などを症状に応じて行います。このような保存療法で改善しない場合、手術(腱鞘切開術)を行うことがあります。
峰下滑液包炎(腱板炎)、上腕二頭筋長頭腱炎、凍結肩(狭義の五十肩)、石灰性腱炎、腱板断裂などを大きく肩関節周囲炎といい、中年以降に明らかな原因無く発症し、痛みと、腕が上がらないといった症状を特徴とします。
治療は、原則として保存療法(手術なしに治療)を行います。疼痛の激しいときは、副腎皮質ステロイドやヒアルロン酸などの注射や消炎鎮痛剤の内服を行います。病態や病期によって理学療法は異なります。凍結肩の痛みの激しい場合、安静にすることがありますが、ホットパックマイクロウエーブなどの温熱療法や可動域訓練を積極的に行うことで、痛みの緩和が期待できます。腱板断裂は手術が必要となることがあります。
椎間板とは一種の軟骨で、背骨のクッションの働きをしています。ヘルニアとは椎間板が破れて飛び出した状態で、これが神経を圧迫すると腰痛や足の痛みとなります。20~30歳の男性に多く起こります。
検査にはX線、脊髄造影、CT、硬膜外造影、MRIなどがあり、治療は①保存療法(骨盤牽引、温熱療法、腰痛体操など)、②手術療法があります。
腰椎には神経を保護する脊柱管と呼ばれる神経の通り道があり、この通り道が狭くなったものを腰部脊柱管狭窄症と言います。
症状は、腰痛の他、足のしびれや痛みなどを伴います。 特徴的な症状は間欠性跛行といって、長く立っていたり歩いていると足が重くなって立ち止まらなければならなくなる、腰を下ろして休まなければならなくなる、ということが起こります。ひどくなると膀胱や直腸に影響を及ぼし、尿が出にくくなったり、肛門周囲の感覚が鈍くなったりすることもあります。麻痺や膀胱直腸の障害がある場合、早めに手術が必要になることがあります。
腰椎分離症は、脊椎が切れることによって発生する腰の疾患です。発生原因は過度のスポーツなどにより、腰の同じ部分に繰り返しのストレスが加わって疲労骨折を起こすことなどが考えられています。腰痛の症状が出る場合もありますが、まったく無症状のこともあり、それほど心配する必要はありません。早期に適切なギプスやコルセット等による固定で治癒することが期待できます。
腰だけでなく下肢まで痛みや痺れがある場合は、神経障害が発生している可能性があります。手術が必要かどうかの検査が必要です。
40歳以上の女性に多くみられます。腰椎は椎体(骨)と椎体(骨)のクッションである椎間板と、後方の椎間関節、靭帯によって支えられています。年齢とともにこれらの支持力が弱くなり、 上体の重みを支えきれなくなって椎体がずれてしまうのが腰椎変性すべりです。結果として腰椎の中の神経を圧迫することがあり、腰部脊柱管狭窄症と同様に足がしびれる、長く歩くと足が痛くなる(間欠性跛行)といった症状が出ることがあります。
腰痛が主な症状の時には、安静、コルセット、鎮痛剤などで経過を見ます。レントゲンやMRIを使って神経圧迫の程度を調べ、長時間立っていられない方や、長く歩けない方には手術の必要な場合があります。
腰椎の感染症です。原因菌は黄色ブドウ球菌によるものが多いです。腰痛と発熱が主な症状で、レントゲンや血液検査で炎症が疑われたら、MRIや骨シンチで部位を診断します。患部に直接針を刺して細菌検査や細胞検査をすることがあります。
治療は、安静にすることと、抗生物質により炎症が治まるのを待ちます。炎症が治まらない場合、病巣を削って骨を移植するような手術が必要な場合もあり、その後も長期にコルセットを使用するなど、治療に時間を要します。
結核菌による脊椎の感染症です。肺からの血流により結核菌が背骨に運ばれ感染します。先の化膿性脊椎炎に比べ、激しい痛みを伴わないことも多く、大きな膿瘍(膿の塊)や麻痺の発生するまで見つからないこともあります。進行すると骨が壊れて変形(亀背)して背中が丸くなったり、麻痺が発生したりすることがあります。
人が立って行動するようになって以来、脊椎にはいつも上から重力がかかるようになりました。変形性脊椎症は、重力の負担によって、骨の形が徐々に変化していく状態で、中高年の腰痛に多い原因の一つです。
病気というより老化とともに訪れる腰椎の形の変化と考えるべきでしょう。骨の変化が靱帯や関節や椎間板を疲労させ、腰を支える筋力も低下し、長い間悪い姿勢、体重増加が加われば腰痛が起こりやすくなります。 このような変化が進むと神経を圧迫して腰部脊柱管狭窄症と呼ばれる病気に進行することがあります。
転移性骨腫瘍の中でも脊椎転移が最も多く、その他、骨盤、大腿骨など 多発性転移が多い(43%)
原発は肺癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肝臓癌、など
腰椎が最も多く、胸椎、頚椎、仙椎
症状:疼痛(安静時)、病巣が拡大すれば神経麻痺
画像:X線で主として椎体の骨破壊(椎体圧潰)を示す。
原発性良性脊椎腫瘍:巨細胞腫、好酸球性肉芽腫、血管腫など
原発性悪性脊椎腫瘍:骨髄腫、脊索腫など
腫瘍の発生した部位によって、硬膜外腫瘍、硬膜内髄外腫瘍、髄内腫瘍の3つに分類されます。
転移性のものが多く乳癌、肺癌、悪性リンパ腫の転移
脊髄腫瘍の80% 大部分が神経鞘腫、髄膜腫
上衣腫、星状細胞腫、血管芽腫
症状:神経根刺激症状(疼痛)、叩打痛、脊髄圧迫症状
画像:MRI、脊髄造影
治療:摘出手術
膝の関節に炎症が起きたり、関節が変形したりして痛みが生じる病気です。
加齢、スポーツ外傷、慢性関節リウマチなどが原因で、膝の痛み、膝に水がたまる、膝が腫れるといった症状を伴います。
治療は①基礎療法(日常生活上の注意、肥満改善)、②運動療法、③物理療法(温熱療法など)、④装具療法(足底板など)、⑤薬物療法(鎮痛薬、関節内注入)、⑥手術療法があります。
骨量が減って骨折しやすくなった状態です。
骨折の起こりやすい部位は脊椎(胸椎下部や腰椎上部)、大腿骨頚部(股の付け根)、橈骨遠位端(手首の骨)などです。
原因は老化、運動不足、摂食不良や閉経、ステロイドのような薬剤や内科的疾患などが元となって、カルシウム不足、ビタミンD不足、ホルモン不足で、骨が弱く折れやすくなります。
硬くて丈夫なはずの骨がスカスカになって、弱く折れやすくなった状態で、背骨が押しつぶされるように変形してしまう骨折です。背中に痛みを伴います。下部胸椎や上部腰椎に起こりやすい病気です。
圧迫骨折が多く発生すると、背骨が変形して背中が丸くなり、身長が低くなることがあります。
通常は安静を中心にした保存療法で治ります。
その他、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談下さい。